経験豊富、人生うん十年生きてきた私たち大人が、おぎゃーと生まれたばかりの子どもに寄り添うことは大切ですが、ただただ子どもに合わせて慌ただしく時が過ぎていく日々だと、疲れてしまうかもしれません。
そんなとき、今回のつぶやきが少しでもヒントになればと思います。
●自分の為に使う時間を諦めない
子育てをしながら、毎日生活を送るって本当に大変かと思います。また、その大変さは、家庭があるごとに違うでしょうし、大変と感じるところも違うでしょう。
でも、これだけは大人が大切にしていかなければいけないこと。それは「自分の為に使う時間を諦めない」事だと思います。
子育てをしながら、大人もリフレッシュしたい。そう思う世界中の親がいないわけはありません。たった少しでもリフレッシュは大切です。例えば、こんなことがヒントになるかもしれません。
・自分の為に使う時間に罪悪感を持たない。ラクしていいんです。
例えば、保育園生活でいうと「いつもより早く終わったから、早く迎えに行った方が良いかな」と考えてくれることはとても素晴らしい事です。でも、もし早く終われて、少し自分の用事を済ませたり、車の中でちょっと一休みをしたり、珈琲を1杯飲んでから帰っても、全く悪いことではありません。
「子どものために」という言葉は時に親自身を苦しめてしまう事もあります。昔の時代は子育てに「楽をする」「自分の時間をもつ」ということは贅沢であり、ズルだという考えもありました。しかし、今は2022年。時代が変わって、いろんな価値観が変わって多様性を大切にしようとする時代になりました。子育ても、その家庭それぞれに取り組んでいくべきです。たとえ、SNSに映えるような子育てを展開する必要はありません。
ですから、自分の為に使う時間に罪悪感を持つ必要は無いと思います。「ちょっと、一休み」存分にしましょう。今日はラクに済ませよう、それでいいんです。
そこから「息抜き」は生まれてくるのだと思います。
・一人でも、少しでも、理解してくれる人、場があること
パートナーや家族の理解が得られない。それなら、誰かに相談できる人、誰かに愚痴を聞いてもらえる人、話を聞いてくれる場を探してみることが大切だと思います。誰かに「大変だよね」と返してくれるその瞬間も、大事なことだと思います。保育園であれば、私たち保育者に話してみてください。こぼしてみてください。
●少しの時間でも脳を休めたり、気分転換になることを見つけてみる
これは、一様にみんなにお勧め、ということはありません。人それぞれ感じ方や捉え方、楽になる度合いが違います。大切なのは「自分が心地よい」と感じるのもので休めたり、気分転換をすることが大切です。
・身体を動かす
とにかく歩く。できれば裸足になって。せめて靴を脱ぐだけでも。できれば、芝生の上や土の上を歩く事も良いと思います。ちょっとした公園の芝生でもいいでしょう。または靴を脱いで簡単な体操やストレッチ、手足をぶらぶらするだけでも気分は変わってきます。
・休む
横になる。または、ぼーっとする。5分だけでも良いから目をつぶる。無理なら3分でも、1分でも目を閉じる。それだけでも大分違ってきます。
・環境を変える
「ちょっと外の空気をすいに・・・」大切です。窓を開けて外を眺めてみる。公園に行ったついでに木漏れ日の下で深呼吸をする。一緒にいて楽な人の近くに行く、誰かとおしゃべりをする、お茶の時間にするなど。昼なら、向こうの景色を見たり、頭の上の空を見上げたり、夜空を眺めるのも一つです。
・作業的な事をしてみる
育児では使っていない分野を使って脳を働かせるのも良いかもしれません。たとえば塗り絵、パズル、新聞の漢字探しや誤字脱字探し。使い捨ての歯ブラシをもって、いろんなすき間をひたすらこすってみる(ただこする。お掃除の感覚では無く)など、「ただぼーっとしている」と言うことが苦手な人は、作業的な事をするのもおすすめです。
・記録をつけてみる(★オススメ)
たった五分でも脳をオフにできると全然違ってきます。試しに、記録をとってみて、今日、今週はどれだけそういう時間をもてたかな?と見てみるのも良いと思います。最近は記録が簡単にとれるほどスマートフォンは便利です。または、カレンダーにちょっと書いておくのも良いと思います。 仕事でもよく言う「見える化」です。
たとえば、勤務表があればどのくらい忙しいかは分かりますが、ではそれ以上にどれだけ家庭のことで忙しいか、ちゃんと休めているかはその人にしか分かりません。「疲れている」という言葉だけで、相手に分かろうとしてもらうのは限界があることを感じましょう。
よくありますよね、「疲れている」に対して「自分も疲れているんだから!」と反抗し合い、結論が見えない干渉…。
以上の一つでも、何か気分転換のヒントになれると良いと思います。是非、やってみることが大切です。
●自分の人生として生きていく
お母さん、お父さん、子ども、全ては「自分の人生」を生きています。
よく、アイデンティティを大切にと言う言葉をします。
アイデンティティ=「これが自分」というものは、一つじゃなくて言いということを是非大切にしてください。
あるときは、「○○のママ」
あるときは、「○○の配偶者」
あるときは、「○○さん」
いろんな呼ばれ方、社会の中の自分が存在しています。
子育てをしているときは、お母さんお父さんですし、夫婦という枠だけで見れば配偶者、そして元々は「○○さん」という自分自身であるということです。それを大切にして生きていかなければならないので、自分の時間を少しでも良いから作ることを大切にしなければなりません。
そこがなんで関係しているの? いえいえ、
子育てが一段落して、子どもたちが自分で行動したり、ついには成人していったとき、自分の人生を考えることができますか?
夫婦という関係の中、それで満足しているのなら良いですが、すれ違いや、離ればなれなど、意外な展開が訪れたら、自分の人生を考えることができますか?
そのためにも、いつ、どんな状況でも「自分の時間をつくる」ということは自分の人生として生きていく為に見失わないようにするための道しるべになるからと思います。
話が大きくなりましたが、自分の時間を大切にすることは、相手を大切にすること。子どもを大切に育てていく営みを充実させていくことに繋がっていくのではないでしょうか。「お父さんも子育てに関心もってよ!」「俺は仕事が忙しい。」と表面上の状況だけをお互いにぶつけるだけではなく、どこが忙しいのかお互いに受け止めてあげることも必要です。
家族は、個という存在が集まってできた営みの一つです。ぶつかり合うのではなく、お互いに腹の内を見せて、自分らしく過ごす事ができる場が「家族」という場なのかもしれません。
参考:母の友2022年3月号 より